こんにちは、ひとり情シスのキヨです。
この記事では『会社で支給されたパソコンはどこまで監視されているのか?』について解説します。
などなど、会社所有のPCとは言え、毎日使っていると自分のもののように気が緩み、仕事に関係ないことをしちゃったりすることがありますよね。
ふと冷静になると、「監視されていないか?」、「管理者に通知が行ってるんじゃないか?」と不安になってしまいませんか?
そんなあなたのために、元社内システム管理者として社員のPC管理をしていた私が、その時の経験をもとにわかりやすく解説します。
- 大企業・中小企業での監視体制の違い
- 監視されている具体的な内容
- 監視から逃れることはできるのか
- 会社のパソコンを使用する際の注意点
これらのポイントを抑えながら解説するので、是非気になるところをチェックしてください。
大企業・中小企業での監視体制の違い
組織の形態や大きさよって会社のパソコンの監視体制は大きく違います。まずはその違いをしっかり理解しましょう。
大企業・官公庁・公共団体の場合
大企業や官公庁などの場合、従業員が使用するパソコンにはほぼ監視ツールが導入されていると思ったほうがいいでしょう。
大きな組織ほど情報流出やセキュリティリスクに関する社会的な影響が大きく、そのリスクヘッジをすることが非常に重要です。
いざ情報流出等があったとき、然るべきガイドラインにそって、然るべき対応が行われていたのか?が問われます。それらを怠っていた場合、今の時代では信用が大きく失墜し、再起するのが難しくなってしまいます。
そのため、社内で利用しているパソコンはもちろんのこと、テレワークを行う場合にも、会社支給のパソコンを利用する場合はほぼ常に監視されていると考えておいた方がいいでしょう。
中小企業の場合
中小企業の場合は監視ツールが導入されておらず、会社のパソコン監視が手薄な場合も多いです。
だからといって油断は禁物!
- 個人情報やクレジットカード情報の取り扱いが多い
- 業務効率や成績が極端に落ちた社員
- 営業ばかりでほとんど出社しない社員
これらの様に、部署によって非常に重要な情報の取り扱いがあったり、業務実態が把握しづらい社員などに限定し、部分的に監視ツールが導入されている場合もあります。
10年ほど前までこういった監視ツールは非常に高価で、中小企業にとってなかなか導入が難しいものでした。
しかし、近年ではクラウド化も進み、様々なサービスプランができてきました。これにより中小企業の導入ハードルも一気に下がったのです。
「自分の会社は中小企業は大丈夫!」という油断は捨てたほうがよいでしょう。
そもそもなぜ会社のパソコンに監視ツールを導入するのか
『監視』と聞くとめちゃくちゃネガティブなワードに感じます。
しかし、そもそも会社は営利を出すことを目標に存在しているもの。そのゴールを達成するために組織を管理し、運営していかなくてはいけません。
また、最近はテレワークといった新しい働きたかも増えてきています。
それら点を踏まえ、改めて会社のパソコンを監視する必要性を理解しておきましょう。
業務の進捗管理
監視ツールを利用することで、従業員が「今何をやっているのか?」の情報を把握しやすくなります。
例えば、テレワークが始まって以降に著しく業務効率が社員がいたとします。
その場合、随時チャットやWeb会議で進捗報告を求めたりすると、その都度上長やチームメンバーは時間を割かれることになります。嘘の報告をする可能性すらありますね。
明らかにおかしい場合は監視ツールを活用し、原因の追求や是正を行うことができます。
セキュリティリスクの抑止
営業先などで暗号化されていない公衆WiFiに会社のパソコンを接続した場合、情報漏えい事故が起こる可能性があります。
また、上司が見ていないからとネットサーフィンをして怪しいサイトを閲覧したり、セキュリティソフトを入れていない私物の端末を利用してマルウェアに感染するといったケースも後を絶ちません。
「情報漏洩はハッカーに侵入されて起こる」と思ってる人も少なくないですが、実情は社内の人間のミスや故意による場合が多いのです。
監視ツールはWiFiの接続制限をしたり、監視ツールがインストールされていない会社以外のパソコンをネットワークに繋げなくする役割を果たすこともできます。
長時間労働の防止
近年では従業員の長時間労働についてのコンプライアンスが厳しくなってきています。
テレワークでは、プライベートな空間で仕事をしているが故、オンとオフの切り分けが難しくなります。夜や休日も休まずにストイックに業務に取り組んでしまうこともあります。
社内においても退勤した後にこっそり残業することもできるため、自己申告制の勤怠管理では隠れ残業の温床になってしまうこともあるでしょう。
そのような場合、パソコンのログイン時間を記録したり、操作ログを残すツールを使えば、隠れた長時間労働などの異変に気づくことが可能です。
適度な緊張感の維持
「監視されている」という事実が周知されているだけで、サボり等への一定の抑止力があります。
特にテレワークで作業していると、緊張感の欠如からやる気が出ないことはありませんか?誰にも見られてい自宅では誘惑も多く、気が緩んでしまいます。
成果が出せないでいた時に作業ログ等も突きつけられてサボっていたことがバレたら絶望的になりますね。
こういった監視環境に置かれないとやるべきことができない人が多いのも事実です。
監視される内容(ログ)はどこまで?具体的な内容が知りたい
まず初めに結論から言います。会社支給のパソコンに監視ツールがインストールされていた場合、
パソコンを使って作業するほぼ全てのログが収集可能
です。
導入されている監視ツールの種類やプランにより監視可能な範囲が異なるものの、その気になれば全て筒抜けだと思ってください。
一言に「全て」と言われてもピンとこないかもしれないので具体的に書いていきます。
- パソコンの起動や終了
-
何時に電源をつけて何時に落としたか。何時間連続で稼働していたか。
- キーボードやマウスの操作例歴
-
特定キーボードやマウス操作の監視、クリップボード(コピペ)の履歴など
- 接続ハードウェアの監視
-
許可されていないSDカードやUSBメモリの差し込み検知
- Webサイトの閲覧履歴
-
閲覧していたサイトのURLやタイトル(Yahoo、YouTubeなど)
- ファイルの作成・閲覧・編集
-
自分のパソコン内にあるファイルや会社のファイルサーバーにあるファイル。(データの持ち出し、消失、改ざんへの対策)
- WiFiのSSID
-
会社以外でどんなWiFiに接続したか(自宅、カフェなど)
- ファイルのダウンロードやアップロード
-
ブラウザやFTPソフトを利用したこれらの操作(不正なデータの持ち出し対策)
- アプリケーションの管理
-
フリーソフトのインストールやアンインストール(ウィルス、マルウェア感染の抑止)
- パソコンの設定変更
-
重要な設定を変更しようとしたか?
- 社内メール
-
メールの送受信先や送った本文・添付ファイル
- 社内チャット
-
グループチャットやダイレクトメールのやり取り
- GPS情報
-
パソコンに搭載しているGPSやSIMカードからの位置情報取得
- 画面録画
-
スクリーンショットの自動取得や動画キャプチャ
改めてこのようにまとめると「えぐ…」と思ってしまいます。細かく書き出したらきりがありません。
また、私が業務でこういった監視ツールをがっつり使っていたのはもはや10年以上前。その時ですらそれなりの情報が取得できたので、正直現在の監視ツールはどこまで進化しているか把握しきれません。
こういった監視ツールのログから副業がバレたり、社内不倫がバレたりなど、実際に色々なシーンを見たこともあります。
本来の目的の元、適切に監視が運用されていればいいのですが、監視ツールが取得した情報を確認するのもまた人間。モラルに反してこういった情報を面白がって閲覧する輩もいるかもしれません。
自分のプライバシーが流出してしまう可能性があることを十分に理解し、監視されている前提のもとパソコンを利用しましょう。
色々わかり過ぎて怖いですよね。
「Webカメラからも見られてるんじゃないんだろうか…」とか思ってしまいます。
監視されてる・されてないに関わらず、以下のようなプライバシーカバーを買っておくと安心です。
500円以下で帰るものがほとんどですよ。
監視の運用について
監視されたものがどのようにチェックされているのか?気になりますよね。実際の経験のもと、監視の運用は以下のように行われていることが多いと思います。
- 特定の条件にマッチしたら管理者にアラート
- 定期的に担当部署チェック
- 怪しい人がいたらチェック
- 何か起きない限りチェックしない
特定の条件にマッチしたら管理者にアラート
- 閲覧NGのサイトにアクセスした
- 勝手にUSBメモリを差した
- 異常な数のコピー・アンド・ペーストを検知した
など、設定された特定の条件にマッチした場合に無条件で管理者に通知が飛んでしまいます。
一度くらいはスルーされたりする場合もありますが、何度も同じような操作をしてしまうと確実に問い合わせがくるでしょう。
私の経験上、監視ツールを導入していれば『Webサイトの閲覧制限』、『USBメモリの差し込み』等の設定は確実に行われていると言えます。
定期的に担当部署がチェック
Pマーク、PMS、ISMSと言った認証を受けている企業では外部監査が入ります。その時に備え、社内的な内部チェックが行われます。
監査を担当するのは情報セキュリティ部署以外にも、個人情報管理室、コンプライアンス部門などが参加することがあります。
月に一度、半年に一度など、頻度は企業によって様々ですが、その認証ガイドラインが正しく実施されているかと合わせて、アラートが多い社員のチェックなど、その時々のテーマを決めて詳しく調査します。
このような場合は、最初に説明した「特定の条件にマッチしたら管理者にアラート」と併用し、適切に監視を運用していることが多いです。
怪しい人がいたらチェック
日頃から監視ツールによる情報収集をしておき、怪しい人がいた場合に詳しくチェックします。中小企業で専任担当者がいないか少ない場合に多いです。
何度も同じようなアラートが届いてる社員はもちろん対象になりますが、
- 突然お金の羽振りが良くなる
- 高級ブランド品を持ち始める
といった業務以外の部分を怪しまれてチェックされることも多いです。
副業がうまくいき調子に乗ってバレちゃう事例を見たことがあります。
何か起きない限りチェックしない
高価な監視ツールを導入しているにも関わらず、このようなパターンも少なからずあります。
万が一何かあった際に所定期間のログだけは残しておこうとう言う感じです。
日々のチェックはそれほどガチガチに行っていないものの、社員が退職する際のデータの持ち出しを確認するといったことはしっかり確認している会社もあります。
テレワークでも監視できる?
上記のような監視項目はテレワークや出張時も継続的に監視可能です。
監視ツールがインストールさているパソコン(クライアント)と、監視ツールの情報が収集されるサーバー側は常にインターネットによって通信しています。
そのため、インターネットに繋がっていれば社内でなくてもリアルタイムで情報収集可能です。
「悪いことをする時はネットから切断するか」と考える方もいるかも知れませんが要注意です。
監視ツールによっては、バックグラウンド(ユーザーから見えないところ)で稼働し続けており、一時的にネットに切断できなくても、再接続した際にその間の操作記録をまとめて送信するものもあります。
基本的に監視ツールからは逃れることは難しいでしょう。
自分が監視されているか確認する方法。気づくことはできる?
専門的な知識でもない限り、設定等を見て自分が監視されてか把握することは難しいでしょう。
監視されているかどうしても確認したい場合は、
- 社内の規則やポリシーに目を通す
- IT部門やセキュリティ部門に問い合わせる
など、正攻法での確認をしてください。
ただし、会社によっては、社員に対して監視の事実を明かさない場合もあります。
利用者側で監視の停止や監視ツールの削除はできる?
監視ツールの削除は利用者側では難しいです。
仮に監視ツール発見して削除しようとしても、管理者パスワードがかかっていたり、削除を試みた通知が飛んでしまう可能性があります。
もし監視ツールの停止や削除ができたとしても、それにより情報漏えいやセキュリティ上のリスクが発生した場合、全ての責任があなた自身に行く可能性があります。
パソコン操作を監視するのは違法?プライバシーは?
会社のパソコンで職務に専念する義務を違反している疑いがある場合、その様子を監視することやパソコンを確認することも法的に問題ないようです。
例えば、
- 従業員がずっと業務と関係のないネットサーフィンをしている
- 私的メールのやりとりをしている
- 機密情報の持ち出しをしようとしている
と言った要素が挙げられます。
あくまで会社で支給しているパソコン、会社が提供している作業場所等に限られます。
個人所有のパソコンやスマホ、テレワーク中の自宅内のカメラ監視など、プライバシー侵害にも関わってくることは常識的にNGです。
まとめ:会社のPCで注意すべきこと
今回の記事はいかがだったでしょうか?
自分専用に与えられているパソコンであっても、会社から支給されているものであるということをくれぐれも忘れないでくださいね!
以下に重要なポイントをまとめます。
- 業務以外の目的では使用しない(私的用途は排除する)
- 会社側はやろうと思えばほぼ全ての操作を監視することが可能
- プライベートな内容のファイルは取り扱わない
- プライベートなWebサイトは見ない(オンラインバンク、証券会社など)
- 特にWebブラウザの利用状況は監視されている可能性が高い
- 監視をチェックする側の人間に悪意がある可能性がある
以上、この記事が悩んでいる方々の参考になれば幸いです。